Road to ITIL 4 Master certification - IT系資格: ITIL 4 Specialist Monitor, Support and Fulfil (MSF)勉強法など


・どんな資格?

「Monitor, Support and Fulfil 」(MSF)とは、ITIL4の上位資格で、合格するとITIL4のPractice Managerとして認定される。

www.axelos.com

peoplecert.jp

 

ITIL 4で提供される34のプラクティスガイドの中から、5つのプラクティスガイドを学ぶ。いずれも、ITILを少しでも知っていたら、聞いたことがあるはずの、基本で大事なプラクティスガイド。

Incident Management、Service Desk、Problem Management、Service Request Management、Monitoring and Event Management

 

ITIL 4 Masterへの道のりを確認、研修を申し込むまで

 

ITIL 4 Masterの認定条件が公表されていたが、「あと何をすれば認定されるのか」がよく分からなかった。

ITIL Masterに認定されるには、Managing Professional(MP)認定とStrategic Leader(SL)認定、Practice Manager(PM)認定の3つの認定が必要。

 

私が資格スキームの図を見て混乱したのは以下の点。

  • CDSという資格がPMとMPの下に横断的に存在するが、Master認定に必要なのか(→MPをITIL v3からの移行で取得した場合は不要)
  • DPIという資格がMPとの下に横断的に存在するが、Master認定に必要なのか(→MPをITIL v3からの移行で取得した場合は不要)
  • Foundationが一番下に横断的に存在するが、Master認定に必要なのか(→MPをITIL v3からの移行で取得した場合は不要)
  • PMの中にMSF、CSI、PIC3つのセットが固まっているが、3つともMaster認定に必要なのか(→3つの資格セットのうち1つのセットを取得するか、5つのプラクティス資格を個別に取得する)

 

私の辿った道のりは、以下の通り。

  1. MP認定は、ITIL v3から移行試験で取得。
  2. SL認定は、ITIL 4 Leader: Digital & IT Strategy(DITS)の資格を取ることで認定。
  3. PM認定は、一番最初に研修がリリースされたMSF資格を選択し、認定。

 

DITSを受けた時も、日本の研修ベンダーで受けたが、教材とトレーニングは日本語、試験は英語だった(現在は、試験も日本語化済み。)

PM試験の日本語化も時間がかかっていたので、海外の研修ベンダーによる英語研修・英語の試験のパターンでの取得を計画した。(2024年9月現在は、日本語研修・試験が始まっている模様)

 

海外ベンダーの研修は、言語と時差による影響が大きい。また、昨今、円安による費用の影響はあるが、日本の研修ベンダーよりは安価なところが多い。

オンラインのバーチャルクラスルーム研修は、平日に3日間連続で受ける必要があり、精神的にも時間的にも苦しいので避けた。英語でのディベートの上に、下手したら深夜に受けなければならない。仕事を休めるなら、なんとかなるかもしれないけれど...。

私は、事前収録済みの講師の講義ビデオを視聴する研修を選んだ。講師がプラクティスガイドの著者もしくはレビューワーであり、また、ゆったりとはっきりした英語で話していて、なんとかついていけそうだった。AI音声の棒読みの研修ベンダーもあったので、事前に中身を確認するのは大事。

研修と試験バウチャーがセットになっていることが多いが、各ベンダーで条件が異なる(1回目の試験に落ちても、2回目は無料で受けられるTake2 re-sit optionがセットになっているところもある)ので、費用やスケジュールとの兼ね合いを考えて、よく確認して申し込んだ。

 

・研修、勉強方法、そして試験へ

約10時間の研修ビデオを、3週間ほどかけて視聴した。長くても15分くらいのビデオに分かれていたので、少しずつやっていった。字幕は無かったが、英語のリスニングだと思ってがんばった。範囲となる5つのプラクティスは、ITILで比較的基本的でなじみ深いプラクティスなので、とっつきにくいところは無かった。

研修用のスライド・スクリプトや、公式のプラクティスガイドの電子書籍が配布される。重要と思われるところは、プラクティスガイドの該当箇所にメモしていた。

公式の模擬試験を2回分もらえるので、まず試験時間通りに解いてみた。初回チャレンジは45%ほどの解答率で、合格に必要な65%には程遠かった。

試験時間90分、全部で60問。1問あたり1.5分。(母国語でない言語による受験は、少し時間が追加されるので113分。紙の辞書を持ち込み可。それでも1問あたり1.8分。)

5つのプラクティスの出題件数は、シラバス通りで、各12問。私が受けた時は、出題順番も、シラバスや模擬試験と同じ(Incident、SD、Service Request、Monitoring and Event、Problemの順。)

ラクティスごとに合格ラインがあるのではなく、全体で65%で合格。とはいえ、もし各プラクティス3問ずつ計15問落としたら、不合格。特定のプラクティスを捨てたり、ヤマを掛ける勉強方法はやめたほうがいい。

もうコツコツ勉強するしかないと思い、英単語の和訳確認から始め、不正解の選択肢も含め、プラクティスガイドで全部確認した。空いた時間にどこでも復習できるように、模擬試験は印刷し、解答のパターンや重要事項を全部書き込んだ。

何度も繰り返していると、パターンが見えてきたようで、5つのプラクティスごとの記述の違いを押さえていくと、少しずつ分かるようになった。シラバス・模擬試験・プラクティスガイドは、よく目を通すことをおすすめする。

模擬試験は、問題文を覚えるくらい繰り返した。実際の試験で、模擬試験と全く同じ問題は無かったと思うが、選択肢で触れられていたところは出ていた。

iPadで模擬試験のPDFをAdobe Acrobat(無料版で可)で開き、iOS標準のメモアプリへ送る(コピーを送信、という機能。)そうすると、全ページが書き込み可能なページ状態でメモアプリに読み込まれる。時間を計りつつ、Apple Pencilで書き込んで解いた。こうすると、紙でコピーするより、何度も解くのが簡単。解答確認は、前出の、解答と解説を書き込んだ模擬試験をiPadの横に並べて確認した。

上手な人はiPadで完結できるかもしれないけど、私にはこのアナログデジタルちゃんぽん作戦が良かった。

 

オンライン試験を受ける際に注意することは、以前受けた時とほとんど同じ。専用アプリのインストールが不要になり、PCのブラウザのみで受けられるようになった。

担当試験官によって厳しくチェックされるポイントが違うこともあるので、相手の指示をよく聞いて、落ち着いて応対するとよい。

kacky1225.hatenadiary.org

kacky1225.hatenadiary.org

 

・合格...

本当に大変だったが、なんとか合格した。1回の受験では合格できず、研修終了後も約1か月、勉強を続けた。年齢や体力の衰えによる記憶力の低下を思い知り、永遠に試験勉強が続くのではないかと思って、本当に辛かった。

なお、もし試験バウチャーを追加で購入する羽目になった場合は、PeopleCert公式サイトの、試験結果に表示されるリンクをクリックする前に、あわてず自分が受講した研修ベンダーに相談してみるとよい。

 

ITIL 4 MP移行試験から約4年かかってITIL 4 Masterになることができた。v3 Foundationから数えると13年以上。自分で選んだ自己投資とはいえ、相当な時間とお金を費やしてきた。資格がないとできない仕事ではないので、学んだことを活かすのも自分次第。今後とも勉強を続けていきたいと思う。

 

 

記念に、紙の認定証も取り寄せた。使用した教材と共に。