ITIL 4 Digital and IT Strategy (DITS)、Strategic Leader 備忘録

しばらく前、無事合格することができたので書いておく。

・この資格は何?

ITIL4の上位資格の一つ。認定されるためには、「ITIL4 Foundatiomを取得」、もしくは「ITIL v3  Expert取得後、ITIL4 MP移行試験に合格」する必要がある。

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ITIL v3 Expertからの移行者は、ITIL4 MPに加え、このDITSを取得することでITIL 4 Strategic Leaderと認定される。

ITIL4から始める人は、まずITIL 4 Foundationを取れば良い。DPIと DITSの資格を取得すればITIL4 Strategic Leaderになる。ITIL 4 MPを取りたければ、個別に必要な資格を取っていく。ITIL 4 MPが無くても、DITSは受けられる。

下記Axelos公式の、ITIL4 Certification Schemeを参照。

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Foundation以外は、認定研修を受けないと、試験が受けられない。

Foundationは、v3のとき取得した。対策本を一通り学習して受かったが、上位資格は、どれも範囲が広いし、新しく学ぶ概念も多いので、研修で講師に教わり、疑問点は質問し、という経験は効果的だったと思う。

・試験を申し込むまで

研修は、Zoomを使用した、オンラインのリアルタイムで3日間。講師の解説と、参加者によるケーススタディ実習。

研修の形式は、研修ベンダーで異なり、全て物理的な教室で行なっているところもある。海外では完全なself e-learning形式で提供しているところもある。

ケーススタディは、成績評価対象で、不合格になることもあるそうだ。その場合は、補習課題があるとのこと。

2022年8月現在、試験は日本語化されていない。日本の研修ベンダーは、別途、日本語の研修テキストを用意して提供していることが多いようだ。

また、模擬試験は2セット配布された。Axelos公式で誰でもダウンロードできるものと同じバージョンと、もう1つ別のバージョン。実際の試験までに何回も繰り返し解き、間違えたところは、日本語テキストと、英語版コア書籍の該当箇所をよく読み直した。

研修受講が必須の、この種のITベンダー試験は、研修をまじめに受けて、数時間勉強すれば、試験に落ちることはない、という認識だったが、今回は別。

研修後、初めて解いた模擬試験は、半分も取れなかった。30問中21問正解で合格だが、日本語の試験に比べて、そもそも問題を読んで理解するだけで時間がかかる。英語ネイティブでない受験者は辞書の持ち込みが認められ、時間も15分おまけされるとはいえ、不安だった。平日はほとんど勉強出来なかったが、1ヶ月ほどかけて、上記の通り、模擬試験の復習を中心に、準備した。

なお、コア書籍は、英語版の電子書籍が配布される。2022年8月現在、日本語版は存在しないし、試験問題が英語なので、英語版の書籍を参照する必要性は高い。

また、紙の書籍は、以前は販売されていたが、現在は在庫限りの模様。

電子書籍は、認証後にブラウザか、特定のアプリで開く必要がある。ダウンロードすれば、オフラインでも使用可能。

・試験の申し込み

試験は、オンラインプロクター、いわゆる、リモートで試験官が監督する受験。試験場へ行く必要はなく、家のパソコンなどから受けられるということ。

試験バウチャーを研修ベンダーから発行してもらい、PeopleCertのサイトで試験を申し込んだ。今回は、日本語の試験官を選択。(英語の試験官での経験もあるが、うまく伝えられず、やり取りに苦労した。)

なお、日本語の試験官は平日だけの対応、英語の試験官だと24h365日受験可能。

・試験当日

部屋を片付け、壁のポスターは剥がし、目に入るところにできるだけ物を置かず、動かせないものは全部、無地の布で覆った。

パソコンは、試験に不要な常駐アプリは全部停止し、デスクトップ上のアイコンも整理。試験用の専用アプリをインストールし、試験環境チェック(Webカメラ、マイク、ネットワーク速度など)も、余裕を持って実施しておいた。

時間になって、試験アプリにログインし、試験官とやり取り。音声にて指示を受けて、登録情報や身分証の確認、Webカメラで部屋を360度撮影するなどを行う。スマートウォッチをつけていないか確認された。また、持ち込みの紙の辞書もこの時、確認を受けた。

メモ用紙とペンが使用できるとのことだったが、要らないので断った。部屋のドアを背にしてカメラに映るようにし、他の人の出入りが無いよう求められた。

試験アプリは、終始もっさりとした動作だったが、最後まで順調に動作した。

文字が黒、背景は白、というインターフェースは変えられないようだったので、ずっと見ていると少し疲れた。

模擬試験と似たような問題もあったと思う。こんなのテキストにあったっけ、というような問題も結構あった。緊張のせいか、英語の意味をうまく取れないことが多々あり、落ち着かせる意味も込めて、辞書は何度も使い、時間もしっかり使い切った。

終了ボタンを押すと、アンケート画面となり、アンケートを回答すると、試験結果が表示される。正式な認定は後日という注意書きはあったが、一応合格ということでほっとする。試験官とは特にやり取りなくあっさりと終了。

・試験後

正式な試験合格認定証がダウンロードできるまでは、数日かかる。5営業日ほどだったと思う。ITIL4 Strategic Leaderの認定証は、さらに数日を要した。気長に待つべし。不明点は、PeopleCertのサポートに連絡すれば教えてくれる。

紙の認定証は、希望する場合のみ、別途有償で購入できる。

・終わりに

メジャーな試験であれば、実際に受けた人の体験記や、関連情報を多く参照できるが、この資格の場合、まだ情報が限られている。気になることは、研修の時に講師に確認できて、本当に助かった。

(※別の資格試験で、e-learningのみの講座を進めているが、聴いて読んでいるだけなので、あまり頭に入らない。チューターへの質問が可能だったり、章ごとに理解度クイズが設定されるなど、工夫はされている。オンライン研修や集合研修と違い、e-learningのみというのは、自分の好きな時間に進められるという自由度が高い。自分が重視することをより多くカバーする研修を選ぶことが重要だと思う。)

この資格を取らないと、できないことがあるわけではない。さまざまな資料を参照することで、同じ内容の知識を得ることは可能であろう。研修を受け、試験を受けることで、体系的に知識を整理し、自分なりの知見としたかった次第。講師の解説に加え、繰り返し繰り返し自分でテキストを読み込み、考えたことはより理解を深めることになったと思う。

なお、新しい概念、資格やトレーニングは、多くの人に広まることも重要と考える。知名度の高い資格であることは、苦労して取得した人の満足にも繋がるだろう。

ITIL v3の頃も、公式のコア書籍は高額だったし、販路が限られていた。市販の入門書や解説書にはずいぶんお世話になった。ネットである程度の情報は得られるが、公式書籍が容易に入手できるようになるよう、期待している。